第9章 ローレンツ力とは何か?

一般理論では「固定磁場を横切る方向に荷電粒子が移動すると、荷電粒子の回りに回転磁場が発生し、この2つの磁場が合成され、片側の磁場は濃く反対側は薄くなる。磁場は濃い方から薄い方に均一になろうとしてローレンツ力が発生する」とされる。 しかし、回転磁場が何故発生するのか、磁場が均一になろうとすると力が何故発生するのか分からない。
ローレンツ力の源泉として考えられるものに、クーロン力、磁力、重力があるが、このうち重力は明らかにローレンツ力とは無関係である。 また、クーロン力は+電荷と-電荷の間の、磁力はN極とS極の引き合いの力又は反発の力であるため、いずれも単独では直交する力は発生せず、ローレンツ力とは異なる。

そこで、磁場とは空間の磁気双極子(第8章 磁場とは何か?)のことであり、ローレンツ力には電場と磁場の両方が必要な為、 「ローレンツ力とは、-電荷と磁気双極子N極間、+電荷と磁気双極子S局間に発生する反発力である」と仮定する。

ローレンツ力
【静止電荷とローレンツ力】

-電荷が静止している場合、-電荷と空間の磁気双極子のN極の排斥力により、N局が外側にS極が内側に整列し、電荷を中心に球状に多層化される。 しかし、電荷が静止しているため、磁気双極子も静止したまま全方向につり合い磁場の流れは発生しない。 このため、静止した-電荷は外部からはN極に見えると思われる。
米国のアマースト大学が2015年に『Science』に掲載した研究では、絶対零度に冷却したルビジウム原子のガスを磁力で操作することで、磁力の流れに特異点を生成し、量子レベル(極小サイズ)の単極磁石を作ることに成功したという。

磁気単極子
2023年8月29日『Nature Communications』

しかし、本仮想物理における解釈は異なる。左から2番目の図は、中心に陰イオン(静止した自由電子)があり、磁気双極子のN局をローレンツ力により押し出した時の磁場の状態である。 3番目は陰イオンと陽イオンが中心にあり、これに磁気双極子のN局とS局がローレンツ力により押し出されたもので、4番目は2番目の状態で、磁場を右から左に移動させた状態だろうか?
すなわち、観測しているのは単極磁石ではなく、静止した自由電子やイオンに対するローレンツ力の効果ではないだろうか?


【移動電荷とローレンツ力(右ネジの法則)】

次に電子(-電荷)が移動する場合を考える。 電子が導体を移動すると、周辺の重力子が分極し磁気双極子(8章磁場とは何か?)となるが、分極した磁気双極子のN極はローレンツ力により外向きに押し出される。 また電子にはスピンがある(5章物質とは何か?)ため、ローレンツ力により押し出される磁気双極子も導体の中央から周辺に向け螺旋状に放出される。
導体に対し螺旋状に押し出された磁気双極子は、隣り合う磁気双極子のN局とS局間の吸引力により、導体を円状に取り巻く磁力線となる。
アンペアの右ネジの法則(流れる電流に回転磁界が発生する)がこれで、ローレンツ力による反発と磁力による吸引がその原因である。
電子が左にスピンするのは、電子を構成する重力素と-電荷子の構造の不均衡によって、慣性抵抗の偏りが発生する為ではないだろうか。


【電流と磁場に直交するローレンツ力】

一般的なローレンツ力を発生させるためには、磁場と直交する方向に電流を流す。 電流が流れると、前述したように右ネジの方向に回転する回転磁場が発生し、直交する固定磁場と下図のように交差する。 すると、磁力線の向きが同じ方向では相乗し磁場が強まり、反対方向では相殺され磁場が弱まる。(「磁気双極子は異極同志でお互い相殺し合い閉局する」と仮定した。) 移動する電子に対し、半面の磁場が強く、逆の半面の磁場が弱くなる。 この状態で移動する電子(-電荷)と磁気双極子のN極との間には、ローレンツ力による排斥力が働くが、磁場の強い方には強い力が、磁場の弱い方には弱い力が働く。 この力の差により、電子には電荷と磁場に90度で直交する力が発生し、電場と磁場に直交するローレンツ力が発生する。
ローレンツ力に対する反作用は、磁気双極子のN局とS局間の吸引力により作られる磁力線に伝わり、さらに磁場の発生元である筐体に伝わる。
下図のレールガンはこのローレンツ力を使った電磁兵器であるが、同じ電流が固定磁場と回転磁場を作るため、弾体の左では磁場が2倍に強まり、右で相殺し合い0となるため、効率よく強烈なローレンツ力が得られる。

レールガン
【モーター】

モーターは、ローレンツ力で駆動する。


【発電機】

発電機は、水力等の力を使い、磁場を横切る方向に導線を移動させる。 すると、導線の中の自由電子も導線と一緒に移動するため、自由電子にはローレンツ力による左に回転する磁場が発生する。(下図)

発電機1

この自由電子に発生した回転磁場と固定磁石による磁場が合成され、一方は相乗し強まり、他方は相殺し弱まる。(下図左) 移動する自由電子の片一方の強い磁場に対しては強いローレンツ力が、他方の弱い磁場に対しては弱いローレンツ力が発生するため、自由電子は磁場の弱い方向に力を与えられ移動し、これが誘導電流となる。(下図右)

発電機2

ローレンツ力における作用と反作用は、磁場に作用が発生し導線や磁石に伝わり、電子に反作用が発生し誘導電流となる。